2002年2月13日水曜日

【裁判例情報】解雇

◆解雇権の濫用の判断

日本食塩製造事件(昭和50年 最高裁第二小法廷判決)
使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になるとした。

高知放送事件(昭和52年 最高裁第二小法廷判決)
寝過ごしによる2度の放送事故を起こした労働者に対する解雇について、悪意や故意によるものではなく、平素の勤務成績も別段悪くないこと等から、本件解雇を解雇権の濫用として無効とした原審の判断を認容した。

◆整理解雇

東洋酸素事件(昭和54年 東京高裁判決)
整理解雇について、人員削減の必要性、人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性、解雇対象の選定の妥当性、解雇手続の妥当性が必要であるとした上で、これらの事情を認め解雇を有効とした。

あさひ保育園事件(昭和58年 最高裁第一小法廷判決)
希望退職者募集などの措置をとることなくなした解雇は、労使間の信義に反し権利の濫用として無効となるとした原審の判断を認容した。

ナショナル・ウエストミンスター銀行事件(平成12年 東京地裁決定)
いわゆる整理解雇の4要件は、解雇権濫用の判断の際の考慮要素を類型化したものであって、各々の要件が存在しなければ法律効果が発生しないという意味での法律要件ではなく、解雇権濫用の判断は、事案ごとの個別具体的な事情を総合考慮して行うほかないとした。

三田尻女子高校事件(平成12年 山口地裁決定)
整理解雇が有効となるためには、人員削減の必要性、解雇回避努力、解雇対象の選定基準の客観性・合理性、労働組合・労働者との誠意ある協議の各要件を、全ていずれも充足することが必要であるとした。

労働大学(本訴)事件(平成14年 東京地裁判決)
解雇が客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認できないときは、解雇は権利の濫用として無効になると解すべきであり、これは、使用者において人員削減の必要性があったかどうか、解雇を回避するための努力を尽くしたかどうか、解雇対象者の選定が妥当であったかどうか、解雇手続が相当であったかどうか等の観点から具体的事情を検討し、これらを総合考慮して判断するのが相当とした。

◆懲戒解雇

日本経済新聞社事件(昭和45年 東京地裁判決)
使用者が懲戒解雇事由に当たるとした事実が、懲戒解雇事由に当たると評価し得ない場合でも、直ちに雇用関係消滅の効果が生じないと断定することなく、通常解雇としての効力が生じないかどうかを検討する必要があるとした。

国鉄中国支社事件(昭和49年 最高裁第一小法廷判決)
職場外でされた職務遂行に関係のない行為であっても、企業秩序の維持確保のために規制の対象とすることが許される場合はあり、公務執行中の警察官に暴行を加えたことを理由とする本件免職処分が、裁量の範囲を超えた違法なものとすることはできないとした。

フジ興産事件(平成15年 最高裁第二小法廷判決)
使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則に懲戒の種別及び事由を定めておくことを要するとした。

◆解雇に関する手続

細谷服装事件(昭和35年 最高裁第二小法廷判決)
労働基準法20条所定の予告期間をおかず、または予告手当の支払をしないで解雇の通知をした場合、即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後30日を経過するか予告手当の支払をしたときから解雇の効力を生ずるものとした。

プラス資材事件(昭和51年 東京地裁判決)
解雇予告手当を支払わずに解雇の意思表示をした使用者は、解雇通知後30日を経過したこと等により雇用契約が終了した時点において、労働者に対し解雇予告手当を支払うべき公法上の義務を負うとした。

セキレイ事件(平成4年 東京地裁判決)
使用者が解雇予告手当を支払うことなく即時解雇の意思表示をし、労働者が雇用関係の即時終了を容認し解雇予告手当の支払を求めている場合には、労働者の意思表示によって雇用関係は即時に終了し、使用者は労働者に対して解雇予告手当を支払うべき義務が生じるとした。

上野労基署長(出雲商会)事件(平成14年 東京地裁判決)
解雇の効力は行政官庁による解雇予告除外認定の有無、内容に関わりないとした。

大阪フィルハーモニー交響楽団事件(平成元年 大阪地裁判決)
会社と労働組合との間に、組合員の解雇に関して労使の協議等を規定する協定があるにもかかわらず、協議が整わないままなされた解雇について、解雇事由が解雇に相当する強度の背信性を持つ等の特段の事情も認められないことから、違法、無効であるとした。

社会福祉法人さくら事件(平成14年 神戸地裁姫路支部判決)
解雇前日の段階では労働者に反省を促すつもりであったのであれば、事情聴取や口頭注意等の善後策を講じるべきであり、これらの措置を何ら講じることなく翌日直ちに解雇を決断したという会社側の対応は理解し難く、解雇事由について合理性ないし相当な理由があるとは認められないとした。

◆就業規則所定の解雇事由

茨木消費者クラブ事件(平成5年 大阪地裁決定)
会社の就業規則の規定は普通解雇事由を限定的に列挙したものと認められ、このように使用者が就業規則において普通解雇事由を限定的に列挙して規定している場合には、普通解雇事由に該当する事実がなければ解雇しない趣旨に使用者自ら解雇権を制限したものと解するのが相当であるとした。

◆解雇と不法行為

女子学院事件(昭和54年 東京地裁判決)
本件解雇予告は権利の濫用として違法であり、会社はこのような理由で解雇予告をしてはならないのにこれをしたことにつき過失があり、本件解雇予告は不法行為を構成するとした。

トーコロ事件(平成6年 東京地裁判決)
本件解雇は無効であるが、解雇に至った経緯等からすると労働者の受けた精神的苦痛は雇用契約上の地位の確認等によって慰謝されるべき性質のものであり、本件解雇を不法行為あるいは債務不履行に当たるとして慰謝料の支払いを求めることはできないとした。

わいわいランド事件(平成13年 大阪高裁判決)
業務委託の不成立を理由とする解雇は有効であるが、業務委託に関する交渉経過等を説明することなく、それが成立するものとして雇用契約を勧誘し、これにより労働者らを失職させたことが、不法行為に当たるとした。なお、労働者は復職を望んでいないが、解雇成立までの30日分の賃金請求を認め、また、損害賠償請求についても、将来の賃金相当分(5か月分)を逸失利益として認めた。

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