2002年4月17日水曜日

【裁判例情報】岡田運送事件

岡田運送事件(東京地裁平成14年4月24日判決)

(事実の概要)
Y社は貨物自動車運送を業としており、XはY社において運送業務に従事していた。Xは病院で脳梗塞の診断を受け、約3か月にわたり欠勤を続けていたところ、Y社より無断欠勤を理由とする懲戒解雇の意思表示を受け、また、解雇通知書の送付を受けた。Xは従業員としての地位の確認、賃金等の支払を求めて出訴した。

(判決の要旨)
Xは、8月20日付け診断書をY社に同年8月20日過ぎに提出してから、就業規則25条(1)に定める欠勤についての上長への願い出及び就業規則25条(2)に定める1週間以上病気欠勤する際に従業員がなすべき診断書提出のいずれも行っていないことが認められるが、これは、Y社から、病気(脳梗塞)を理由に退職勧奨を受け、診断書が必要か問い合わせた際、上司から、解雇するから診断書は不要であると拒絶されたことによるものであるから、Xが診断書を提出せず、欠勤の願い出をしなかったことに正当な理由があるというべきである。
Xとして解雇を受け入れるつもりがないのであれば、なおも診断書提出や欠勤の願い出を行うのが望ましかったとはいえるが、Xの診断書不提出等が上司のこれを不要とする言動に基づくものである以上、Xの診断書不提出等が企業秩序に違反する行為とはいえないことは明らかであり、Xの診断書不提出等の行為には、正当な理由がある。
したがって、Xの無届欠勤は、就業規則28条(3)(イ)「正当な理由なしに無届欠勤7日以上に及ぶとき」には該当しないと解するのが相当である。<中略>
Xの欠勤が懲戒解雇事由に該当しないことから、本件解雇は、Xの無届欠勤を理由とする懲戒解雇としては無効である。
懲戒解雇は、使用者による労働者の特定の企業秩序違反の行為に対する懲戒罰であり、普通解雇は、使用者が行う労働契約の解約権の行使であり、両者はそれぞれその社会的、法的意味を異にする意思表示であるから、懲戒解雇の意思表示がされたからといって、当然に普通解雇の意思表示がされたと認めることはできない。他方、使用者が、懲戒解雇の要件は満たさないとしても、当該労働者との雇用関係を解消したいとの意思を有しており、懲戒解雇に至る過程に照らして、使用者が懲戒解雇の意思表示に、予備的に普通解雇の意思表示をしたものと認定できる場合には、懲戒解雇の意思表示に予備的に普通解雇の意思表示が内包されていると認めることができるものと解される。<中略>
<本件についてみると、>Y社代表者は、脳梗塞をしたXをもはや運転手として雇用し続けることはできないとの考えに基づいて、Xに対し、病気を理由とする退職勧奨を行ったものであるから、本件解雇通告及び本件解雇通知書は、懲戒解雇の意思表示のほか、予備的に普通解雇の意思表示を含むものと認定できる。

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