2002年4月17日水曜日

【裁判例情報】山口観光事件

山口観光事件(最高裁平成8年9月26日第一小法廷判決)

(事実の概要)
Xは、ホテル・公衆浴場の経営等を業とするY社が経営する店舗において、マッサージの業務に従事していた。XはY社担当者に対し、「連日の勤務で疲労したので、翌日から2、3日休みたい」と連絡し、年次有給休暇の取得を請求したところ、Y社代表取締役から、「明日から来なくてよい」と告げられた。Y社は、Xが出勤を拒否し、さらに欠勤を申し出た行為が就業規則所定の懲戒事由である「正当な理由なく、しばしば無断欠勤し、業務に不熱心であるとき」に該当し、懲戒解雇にしたものであると主張した。また、Y社はその後、XがY社に採用される際に実際よりも年齢を若く記載した履歴書を提出していたことが、就業規則所定の懲戒事由である「重要な経歴をいつわり、その他不正な手段により入社したとき」に該当していると主張した。Xは、当該解雇の無効を主張し、解雇後の賃金の支払を請求して出訴し、1審及び2審はXの請求を認容した。これに対してY社が上告したものである。

(判決の要旨)
使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課すものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。したがって、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情のない限り、当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないものというべきである
これを本件についてみるに、原審の適法に確定したところによれば、本件懲戒解雇は、Xが休暇を請求したことやその際の応接態度等を理由としてされたものであって、本件懲戒解雇当時、Y社において、Xの年齢詐称の事実を認識していなかったというのであるから、右年齢詐称をもって本件懲戒解雇の有効性を根拠付けることはできない。

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