2002年4月17日水曜日

【裁判例情報】高知放送事件

高知放送事件(最高裁昭和52年1月31日判決)

(事実の概要)
Xは、テレビ・ラジオの放送を業とするY社にアナウンサーとして雇用され、宿直勤務に従事していたが、2度にわたり寝過ごし、定時のラジオニュースを放送することができなかった。Y社はXを懲戒解雇処分に付したが、Xは前記放送事故が自らの過失のみにより起こったものではない等主張し、従業員の地位の確認を求めて出訴した。1審及び2審はY社の懲戒権の濫用を認定し、Xの請求を認容した。本件はY社が上告したものである。

(判決の要旨)
就業規則所定の懲戒事由にあたる事実がある場合において、本人の再就職など将来を考慮して、懲戒解雇に処することなく、普通解雇に処することは、それがたとえ懲戒の目的を有するとしても、必ずしも許されないわけではない。そして、右のような場合に、普通解雇として解雇するには、普通解雇の要件を備えていれば足り、懲戒解雇の要件まで要求されるものではないと解すべきである。<中略>
しかしながら、普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるものというべきである。<中略>
<本件諸事情のもとにおいて、>Xに対し解雇をもって臨むことは、いささか苛酷にすぎ、合理性を欠くうらみなしとせず、必ずしも社会的に相当なものとして是認することはできないと考えられる余地がある。したがって、本件解雇の意思表示を解雇権の濫用として無効とした原審の判断は、結局、正当と認められる。

0 件のコメント:

FBlog = エフブロ =

FOURBRAINオフィシャルブログ
研修などの活動実績、ご提供している資料、法改正情報及び判例情報などをご紹介しています。