2002年4月17日水曜日

【裁判例情報】七葉会事件

七葉会事件(横浜地裁平成10年11月17日判決)

(事実の概要)
X1及びX2は、A保育園を設置経営する社会福祉法人Yに保母として雇用されていた。A保育園で園外保育を実施した際に、数名の園児が蚊に刺されたのでX2はその園児に薬を塗っていた。その間に、他の2名の園児が駆け足で保育園に向かい、X1及びX2はこれら園児を見失った。約15分後にこれら園児は保育園の託児員に無事保護されたが、Yは、園外で園児を無防備のまま放置したことを厳に謹まなければならないとして、就業規則45条2号所定の「正当な理由がなく、園の諸規程、指示に従わず、または不正な行為があったとき」等に該当するとしてX1を7日間の出勤停止に、X2を3,000円の減給処分に付した。X1及びX2は、当該規定は故意に使用者の指示に従わなかった場合に適用されるものであって、過失の場合には適用されない等主張し、処分無効の確認等を求めて出訴した。

(判決の要旨)
本件各処分の前提となった事実は、<中略>両園児が市民の森の出入口から駆け足で園に向かったのにX1及びX2が気付かなかったという過失によるものであり、故意によるものではないから、X1及びX2の行為は、そもそも就業規則45条2号には該当しないというべきである。
<園児を離脱させて各種の危険にさらしたことについてX1及びX2に落ち度はあるが、>園外保育において蚊に刺された園児に薬を塗ることは、保母としての業務行為に含まれるから、X2が市民の森の出入口で園児数名に薬を塗ったことは、その場において必要な業務行為であり、その間、他の園児を視野に入れることができなかったとしても、やむを得ないものというべきである。また、X2は、薬の塗布行為をX1が見ているのを認識していたのであるから、X1において他の園児を見守っているものと信頼するのが通常であり、X2がX1との連携の確認を怠ったことに対して、X2に経済的な不利益を生じさせる減給処分を科することは、処分の程度として重過ぎるというべきである。<中略>
したがって、X2が薬を塗っているときに両園児が園に向かったのに気付かなかったことについての本件減給処分は、処分の程度として重きに失し、Yの裁量権を逸脱するものとして無効というべきである。
他方、X1は、<園児全体を視野に入れるべきところこれを怠ったことから>X2とくらべてその責任は重いというべきである。
ただし、本件では、両園児は託児員に保護されて事なきを得たため、X1及びX2の行為は就業規則45条2号には該当しないのは前述したとおりである。
そして、<認定した事実によれば、園児がX1らの保育から離脱した時間はせいぜい15分間であり、X1らはその後提出した報告書において反省の念を記載しており、また、園においてはグループから離脱しがちな園児2名がいることを認識していたことから、>7日間の出勤停止という本件出勤停止処分は重きに失し、X1に対する処分としては減給処分で十分というべきである。したがって、X1に対する本件出勤停止処分も、Yの裁量権を逸脱し、無効である。

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