2002年4月17日水曜日

【裁判例情報】中央林間病院事件

中央林間病院事件(東京地裁平成8年7月26日判決)

(事実の概要)
Xは、個人病院を経営するYの依頼を受け、同病院の院長に就任していた。Yは、XがYを誹謗中傷している、Xが病院の経営状態が悪化していると故なく吹聴し、従業員の不安を煽るほか、病院の信用を毀損している、規定に反して勝手に医療機器を購入した等の理由から、Xを懲戒解雇に付する決定をした旨記載された通知をXに送付した。同病院の就業規則には、「職員の表彰及び懲戒は、次の各号に定める原則に従い実施する。(3)懲戒委員会を設置し、懲戒についてはすべて委員会にはかりその結果に基づき院長が決定すること。(4)懲戒委員会は、委員3名をもって構成し、委員は院長、副院長、事務長各1名とする。」との規定があったが、YはXを解雇しようとするに当たり、同委員会を開催せず、総婦長との相談によりXの解雇を決定していた。Xは本件懲戒解雇の無効の確認等を求めて出訴した。

(判決の要旨)
本件懲戒解雇が、<懲戒委員会の設置及び構成、懲戒手続を定めた就業規則の規定>に則ったものであるか否かを検討する。Y本人尋問の結果及び弁論の前趣旨によれば、当時、副院長は存在しなかったこと及びYは総婦長と相談したうえ、Xの解雇を決定したことが認められる。<中略>
思うに、本件においては、本件懲戒解雇当時、副院長が存在しなかったことや、懲戒解雇対象者が院長であるといった特殊性が存したことからすれば、就業規則<中略>の規定どおりでなければ懲戒解雇をなしえないとするのは相当ではなく、代替的な方法によることも可能であると考える。
しかしながら、右に認定した程度のものでは、Yが独自にXの懲戒解雇を決定したのに何ら代わるところがなく、<同規定が>懲戒処分については、<Yの経営する病院の>中枢的立場にある者の協議検討の上慎重に決定しようとした趣旨が全く没却されているのであって、就業規則上の懲戒委員会に代替する措置が執られたとは到底認められない。したがって、本件懲戒解雇は、手続的な面においても、瑕疵が大きいものであると言わざるを得ない。

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