2002年4月17日水曜日

【裁判例情報】三和銀行事件

三和銀行事件(大阪地裁平成12年4月17日判決)

(事実の概要)
都市銀行であるY銀行に雇用されていたXらは、労働組合内部における少数派として、かねてから労働条件の向上運動等を行っていた。Xらは、Y銀行において賃金差別、男女差別、割増賃金の不払の日常化及びY社における経営姿勢や労働実態についての手記をまとめた書籍を刊行した。Y銀行は、前記書籍はY銀行を誹謗・中傷するものであり、その中には虚偽若しくは事実を著しく歪曲した表現が含まれ、Y銀行の名誉信用を毀損した等として就業規則に基づきXらを戒告処分に付した。Xらは、本件戒告処分の無効確認を求めるとともに、違法な戒告処分により精神的損害を受けたとして損害賠償の支払を請求した。

(判決の要旨)
本件出版物は、<中略>Y銀行において労働基準法違反等の各事実が存し、かかるY銀行の経営方針に反対するXらに対し、Y銀行が長年賃金差別・昇格差別等を行い、Xらを不当に虐げてきたという内容の図書であり、かかる図書を出版することは、少なくとも形式的には就業規則第54条第3号、第8号に該当するといえる。しかし、<中略>形式的には懲戒事由に該当するとしても、主として労働条件の改善等を目的とする出版物については、当該記載が真実である場合、真実と信じる相当の理由がある場合、あるいは労働者の使用者に対する批判行為として正当な行為と評価されるものについてまで、これを懲戒の対象とするのは相当でなく、かかる事由が認められる場合には、これを懲戒処分の対象とすることは懲戒権の濫用となるものである
<本件出版物の内容を>このようにみてくると、問題となる記載はごく僅かといわなければならない。本件出版物の記載の中の大部分の記載については、Xらが自ら体験した事実をもとに記載されており、右事実について、Y銀行の経営方針等に反対する活動を長年行ってきたXらなりの評価を記載したものである。<中略>
そうであれば、本件戒告処分が懲戒としてもっとも軽いものであるとしても、懲戒事由とされた部分の大半が事実を記載し、又はかかる記載をすることに相当の理由があること、加えて、Y銀行においてはユニオンショップ制がとられていることから、Xらは組合内の少数派として活動するよりほかないものであること、Xらの寄稿・出版協力の目的が主としてXらを含む従業員の労働条件の改善を目指したものであることを総合考慮すれば、本件戒告処分は、処分の相当性を欠き、懲戒権を濫用したもので、無効であるといわなければならない。

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